僕は音楽における「エモ(emo)」が大好きです。
エモは「emotional(感情的)」から来ています。
「エモイ」という言葉が最近の若者たちの間で流行っているようですが、そちらの意味とはあまり関係ありません。(通ずるところはあるが)
「エモ ポップ」
「エモ バンド」
「エモ ロック」
などのワードで検索される方におすすめです。
「ポップ」と「エモ」は本来なら混在しない
「エモバンド」と言うジャンルだと、大抵はマイナースケールを使い、ちょっと暗くてトゲトゲしたアップテンポな曲ばかりを量産するバンドを指します。
だから、「ポップなエモバンド」というのは、分かりやすく言うと「小さな巨人」みたいなもので、ちょっと矛盾してると感じてます。
正直言うと、それ系のエモバンドが僕はあまり好きではありません。
なんかありきたりな感じがするし、特に2000年代は同じような洋楽エモバンドが吐いて捨てるように出てきましたし、それに影響された邦楽のエモバンドも恐ろしく多かったですね。
また、この辺りのジャンルは複雑なコード構成を使わないため、作曲初心者でも簡単にそれっぽい曲が作れたりします。
それ故「エモ」は、単純でフックが効いてないつまらない曲ばかりのジャンルと感じてます。
昔僕は「自分はエモが好き」と思いこんでいましたが、改めて考えてみて、”ぼくは「エモ」が好きなんじゃなくて、「エモイ要素がある曲」が好物なんだ”と悟りました。
エモい要素がある曲って?
結論から言うと、僕好みの「エモイ要素」を含んだ曲を量産し続けているバンドは存在しません。
「このバンドの全ての曲が好き」という人は中々いないと思うので当たり前かもしれませんが、僕は「1、2曲好きな曲がある」というバンドがたくさんいます。
「エモい要素があってどこか優しくてミドルテンポの曲」
これが好きです。
時折「パワーポップ」とか「ポップパンク」というジャンルの曲を漁りますしこの辺りも好物なんですが、”大”好物では無いですね。
僕が言いたいことが中々言語化できないので、曲で示します。
Jimmy eat World「Futures」
Jimmy eat Worldはアメリカのエモバンドです。
エモバンドという代名詞通り、曲のほとんどが暗めでダークな感じです。
疾走感溢れてる曲の中に、時折バラードっぽい感じの曲があり、その辺りがいかにもエモバンドって感じです。
髪を紫色に染めた10代の若者が好んで聞きそうですね。
そんな中、Jimmyの「Futures」という曲は群を抜いて明るいです。
しかし!普段暗い曲を作っているせいか、「ポップバンドが作るポップな曲」と違いどこか上がり切れてない雰囲気があります。
これが僕の思う「エモイ要素のあるポップな曲」です。
エモバンドの中にはこういう神曲が時折紛れ込んでいるので、「あまり好きなジャンルのバンドでは無いな」と思っても、それがエモバンドであれば、通しでアルバムを一旦全部聞き、紛れ込んだ神曲を探す必要があります。
Say Anything「Ahh…Men.」
この曲で何度涙を流したことでしょうか。
前半は冗長で起伏の無いメロディとコードが続きますが、後半に怒涛の展開が待ってます。
しかも僕の大好物である「3485進行」です。
更にアコギのクリアな音も美しい。
※【コード進行】3-4-5-6進行(3456パターンの魔力)なぜ泣ける?にリンクしてます。
このアコギの美しい音を聴くだけで自分でも表情がうっとりするのが分かりますが、コーラスワークと、どんどんエモくなっていくボーカルのテンションも完璧です。
そして待ちに待ったディストーションギターも最高ですね。
この瞬間の音を聞くと全ての嫌なことを忘れられます。
・ポップ(でもポップ過ぎない)
・暗い(でも暗すぎない、というか”優しい”に言い換えた方がいい?)
・ミドルテンポ
この辺りの条件をクリアしている非常においしい曲です。
更に言えば、アコギの音とか結構リバーブかけて”教会感”を演出してるバンドも多いですが、Ahh menではリバーブをあまりかけず、極力乾いた音をそのまま鳴らしてるのも好感が持てます。
やっぱりこういうエモい曲は「乾いた感じ」が伝わる方が好きです。
ドラムの音とか、この曲の場合はキレイでクリアに録れているのもいいですね。
でも、コンプ掛け過ぎてもはやぐっちゃぐちゃになってるくらいぶっ壊れてても僕は好きです。
例えば次の曲なんかが分かりやすいです。
cinema staff「GATE」
邦楽です。
Youtubeのコメント欄にもあるように、「The エモ」です。
GATEはとにかくドラムの生っぽさ(汚らしさ)が良いなと思います。
インディーズらしさともいいましょうか。
たぶんコンプレッサーかけまくったせいだと思いますが、シンバル系もバシャバシャ鳴ってますしスネアもこもってます。
しかしドラムがバコンバコン鳴り過ぎて、この曲のやかましさを増幅させてます。
悪く書いてますがこれ全部好きな点です!
他にも、ギターの音とかもこもった感じがして良い感じです。
もしこれがメジャー環境で録音されていたら、もっとクリアで突き抜けた感じの音質になっていたと思います。
一般受けを考えたら絶対にその方がいいでしょうけど、僕個人ではインディーズ感のある今の方が好きです。
特に僕は宅録の際、ギターをライン録りした後にエミュレーターでディストーションをかけたりするので、こういう生っぽい音に心底憧れます。
ちなみにこの「GATE」という曲の中には他に好きなポイントがあって、それが「サビの時のギターリフ」です。
サビの入り口では、右側のギターも左側のギターもコードをガンガン鳴らして、ステレオフォニックの効果で迫力を演出してます。
しかしサビの途中で、左側のギターがリフに切り替わります。
そのせいでステレオフォニックの効果が無くなり、まるで音圧がガクっと下がったように聴こえます。
恐らくメジャーではこういう個性的過ぎるミックスは許されないでしょう。(しらんけど)
でもこの「飽くまで多重録音なんかせずにライブそのまんまのギター本数で生っぽさを演出するぜ」感がすっごくすごく好きです。本当にすごく好きです。
ギターソロも左側のギターさんが担当してますが、迫力を重視するなら両側のギターでコードを鳴らし、ソロのギタートラックを新たに追加し、それをセンターに持ってきて目立たせればいいはずです。
でもそれをしない!
この偏りがやっぱいい感じにロックでエモくてグチャってて好きですね。
(やっぱり言語化できてない・・・・)
Hum 「Stars」
90年代の曲です。
なんすかこの雰囲気。
けだるい。とにかくけだるい。
とにかくうるさいバンドサウンドに、けだるく歌うボーカル。
もう何年も一軍に入ってる好きな曲です。
しかもこの曲との出会いが”「Saints Row」というゲームの中で流れてた曲だった”
というのも個人的に嬉しい点です。
終盤でのギターリフもソソリマス。
けだるさもあると、エモイ要素が増幅して最高ですね。ウットリします。
Quietdrive 「Take A Drink」
エモとは言わないですね。
自分でも分かってます。
恐らくコレ系のバンドは「パワーポップ」というジャンルです。
Quiet Driveは大好きなバンドの一つですが、この「Take A Drink」が群を抜いて好きです。
いわゆるパワーポップ系バンドは、ただの突き抜けたポップに加え結構シリアスな曲も作ります。
極論を言えば、「”シリアス”か”パーティー”か」のどちらかに属する曲ばかりを作ってます。
「Take A Drink」はシリアス路線ですね。
でも量産されてる曲とは違い、スッと入ってくる心地良さがあります。
入りのギターリフも中々可愛いですね。
Jimmy eat Worldの「Futures」始め、エモ系の曲はやはりコード進行が単調になりがちなので、メロディーとリフで魅せる必要があると思ってます。
イントロのギターリフや、フックで魅せるリフは本当に大事です。
仮にその曲があまり好きじゃなくても、後半のフックでチラっと見せるリフが最強だったら、その曲全体を好きになります。
強力なリフにはそれくらいのパワーを持っています。
「エモ」で調べてヒットしたバンド
日本のエモバンド
・エルレガーデン
・ワンオクロック
・ワニマ
・米津玄師(バンドでは無いが)
・RADWIMPS
・フジファブリック
洋楽系エモバンド
・Jimmy eat World
・他にも当然たくさんあるけど、調べててあまり楽しくなかったので省略
その他「エモ」の定義など
「エモ」というと、ロックの一環みたいな捉われ方ですが、「エモイ要素」はクラブミュージックなどにも普通に取り入れられています。
「ダブステップ(ワブルベース)」とか、その音が入ってるだけでエモくなってる気がします。
ダブステップとはこれです。
ダブステップの音も大好きです。
聞いてるだけで心地良くなります。
しかし、ダブステップはやっぱりどうしても「クール系」の曲にしか使われないので、「ワブルベースを含んだポップな曲」というのが存在しないんですよね。
エキゾチックな音なのでポップな曲長と相性が悪いのは分かりますし、たぶん僕は無理なことを言ってると思います。
たぶん例えるなら、「クラシックを演奏するために用意したオーケストラに、デスメタル系のディストーションギターを混ぜ込む」みたいなことだと思います。(いやこれはこれで面白そうな気がする)
ただ、一曲だけダブステップを含んだ明るい曲を見つけました。
これです。
パズドラのCM曲ですw
この動画の中で4:20くらいから始まる「進化編」の時のBGMが、僕が理想とする「明るいけどダブステップが入ってちょっとエモくなってる曲」です。(ダブステップが流れるのは、CMの終わり際の一瞬です・・・)
是非ともこの曲をフルで聴きたいんですけど、存在しないっぽいんですよね。
エモ – まとめ
言いたいことがまとまってない状態で書き始めたので、かなり支離滅裂な記事になってしまいました。
僕は10代の頃、「エモバンドが好きなんだ」と思い込んでしまい、日本版が発売されてないような洋楽エモバンドのCDを買い漁りました。
しかし今となってはやっぱりどれも似たようなものばかりで、改めて聴こうとは思えません。
当時の僕がなぜ「エモバンド」ばかりを聴き漁ったか、ですが、当時僕は
「VELTPUNCH(White Album)」
「Zebrahead(MFZB)」
辺りに死ぬ程ハマってました。※()内は当時聞いていたアルバム
そして、「こういうバンドをもっと聞きたい!一体これはなんというジャンルなんだろう」と思って調べたら「emo」がヒットし、「じゃあ僕はエモが好きなんだ!エモにカテゴライズされるバンドをたくさん聞き漁ろう!」という考えに辿り着きました。浅いですね。
VELTPUNCHは今でも一番好きなバンドです。
特にVELTPUNCHの「Paint Your Life Gray」というアルバムは神ですね。
他のどのアルバムよりも明るく、しかし普段ちょっと暗いせいで上がり切れておらず、そしてギターの音が乾いているという良いこと尽くしのアルバムです。
ベルパンは、曲の構成はもちろんですが、音質へのこだわりが半端ないのでモニタリングヘッドフォンで聴くととても気持ち良いです。
ボーカルギターの長沼さんのセンス、知性が感じ取れます。(彼の声もまた特徴的でいい!)
ゼブヘのMFZBも、パーティーロックを得意とするzebraheadの中では一番シリアスで、真面目で、染みるアルバムです。
かなりのエナジーを感じます。
ボーカルギターのジャスティンがMFZBをリリース後に脱退してしまい、その後若干バンドの方向性が変わったので、ジャスティンがやっぱりメインのライターだったんだなと思います。
※もちろんその後のゼブヘも好きですよ
※後、正式にはたぶん「waste of MFZB」をリリース後に脱退したっぽいです
ジャスティンが新たに始めた「I hate kate」というバンドや、ソロでリリースした映画音楽のカヴァーアルバムも一通り聴きましたが、かなりレトロな雰囲気で、80年代のポップスを彷彿させました。
確かに、ジャスティンがzebraheadで満足してたとは到底思えません。
話は以上ですが、改めて、僕が一番好きな洋楽エモバンドは記事中でも紹介しました、「Say anything」です。
一番好きな曲は「Ahh men」で間違いないですが、
この曲も大好きです。
未だに曲名が覚えられませんが「Slowly, Through A Vector」という曲です。
1:52くらいからちょっと雰囲気が変わり始めて2:45くらいから僕の望み通りのエモイ展開になります。
切ないけど優しいコード進行に、シンバルがバシャバシャなる感じとかそうですね。
こういう曲をもっと量産してほしいけど、SayAnythingもこういうウットリ系の曲はアルバムの中に2,3曲紛れてる感じなので、ちょっと惜しいです。
SayAnythingはエモバンドの中でもかなり複雑なコードワークを使うので、知性を感じる反面一般受けはしない気もします。
更に、最近はなんかディストーションギターもあまり使わず、かなりマイルドなバンドになってしまったのも残念です。
今度こそ話は以上です。
※余談ですが、自分で書いてて「エモバンド」を何度か「ホモバンド」と打ち間違えました