だいぶ前「最近のRADWIMPSが”なんかきつそう”に感じる理由」という記事を書いた。
今回はもっとニッチなテーマで責める。
題して「バグッバイが名曲な理由」。
「バグッバイ」で何度も涙を流してきた
僕は、誰もいない完全なプライベート空間で、お気に入りのヘッドフォンで音楽を(爆音で)聴くのが趣味だ。
毎回ではないのだが、この行為の最中に時折理由が分からない涙が出ることがある。
たぶん完全にトリップしてるんだと思う。
思い返せば「バグッバイ」の時に泣くことが多い。
バグッバイは本当に美しい。
全てが美しい。
出来ることなら「バグッバイって美しいよねー」の一言で通じ合える人と会って、その人と相槌を打って終わりにしたい話だが、いかんせん僕の趣向がニッチで気が合う人がいないので、みんなに伝わるように「バグッバイの素晴らしい点」を分かりやすくまとめてみた。
「バグッバイ」の素晴らしい点①:まずかなり“ラッド”っぽい
2011年以降のRADWIMPS、つまり「絶体絶命」というアルバムをリリースした頃くらいから、RADWIMPSはあらゆる点でストレートになっている。
歌詞も、それまでの奥歯に何か詰まったような女々しい表現から、ドストレートで怖いものなしな表現にシフトした。
演奏も荒々しくなり、そしてトリッキーな曲が増えた。
もちろんそれはそれで「RAD」っぽい。
こういうRADも大好きだ。
しかし以前のRADは、まるで神の子が神から直接受け継いだ不思議な力を発揮するかのように、かなりナチュラルで神秘的な雰囲気をまとっている。
そしてバグッバイにはそれが思いっきり表れている。
いきなり意味不明な事を言ってしまい申し訳ないが、バグッバイには本当にそういう雰囲気がある。
「バグッバイ」の素晴らしい点②野田さんのソフトな歌声がハマっている
野田さんの歌い方のバリエーションは本当に多い。
張り上げる声からまくし立てる声まで、どんな声も自在にあやつる。
そんな“野田さんの声”の中で僕が一番好きなのが「ソフトな声」だ。
ソフトな歌声の時に表れやすい、野田さん特有の「ミックスボイス(裏声と地声を混ぜるテクニック)」が本当に心地良い。
バグッバイの時、野田さんはソフトで可愛いらしい歌い方をする。
これがマジでもう完璧なまでにハマっている。
10年近く前。まだ僕がバンドをやっていた頃のこと。
当時はよく「ティーンズ・ミュージック・フェスティバル(YAMAHA主催のオーディションイベント)」などに出場し、他の若手バンドと一緒にライブをしていた。
そして当時からRADの人気は根強かったので、もちろんRADのコピーバンドをする若者も多かった。
彼らがコピーした「バグッバイ」も何度か聞いたことがある。
ライバルとは言え好きな楽曲なので、もちろん僕は聞き入った。
しかしどのバンドのボーカルも「RADのソフトさ」については全然意識してなかった為、「そこを捨てるのか」とだいぶガッカリしたのを覚えている。
もちろんプロボーカルとアマチュアバンドの技術を比較するのはナンセンスだが、当時から僕は「そこは捨ててはいけない部分」というところに敏感だった為、少しだけ納得が行かなかった。(ただ尖っていた…笑)
とは言え、確かにあのソフトな歌い方はムズイ。
ボーカルの(喉の)キャラクターにも寄る。
というわけで、「バグッバイ」は、“RADしか歌えない曲をRADが歌っている”という奇跡みたいな部分がある名曲だ。
「バグッバイ」の素晴らしい点③ドラムが好き
「好き」という言葉を使いだしたらなんでもアリになるのだが、バグッバイはドラムの「音質」が素晴らしい。
「ドラムの音質」なんて、未だかつて意識したことがない人も多いだろうが、バグッバイは本当に良い。(個人的に好きなだけかもだが)
バグッバイのドラムは、分かりやすいように音質を落としている。
いや、落としているわけではないが、ハイファイでクリアな音質で録音出来るこの時代に、あえてローファイでアナログな音質を表現している。
そこから感じられる、なんとも言えない「軽さ」「心地良さ」。
スネアの音が本当に心地良い。
シンバルの音も気持ち良い。
一度で良いので、是非ドラムを意識して聞いてみてほしい。
「バグッバイ」の素晴らしい点④歌詞が良い
美しい?
優しい?
かわいい?
グッと来る?
なんかどの言葉を使っても軽くなってしまうので、結局「歌詞が“良い”」という表現で落ち着いてしまった。
バグッバイは歌詞が良い。
正直なところ、僕は野田さんが「バグッバイ」を通して何を伝えたいのか良く分かっていない。
でもそれでいい。
正直、歌詞には必ずしも意味やストーリーが組み込まれてなくて良いと思っている。
その曲調・メロディにハマった単語を並べ、それでいて歌っていて心地良い子音を理論的に並べ、「なんでか分からないけどグッと来る」という曲を作り上げる。(ここで言う“グッと来る”というのは、感動的であるという意味ではなく、ハードコアでもメタルでも何でも当てハマる。要は聞いた時に心地良ければ良い)
音楽とは、そういうもので良いと僕は思っている。
もちろんその「計算されつくした歌詞」の上に、更に「極上のストーリー」も乗っていたら、それは紛うことなく完全に名曲である。
しかしそれはさすがに難易度が高いようで、さすがのRADWIMPSでも量産は出来ないようだ。
ちなみに最近のRADは、「歌う心地良さ」よりも「歌詞のメッセージ性(ストーリー性)」を重視している感じがする。
だから聞いていて「なんかきつそう」と感じることもある。
しかし「バグッバイ」という曲からは「きつそう」だなんて微塵も感じられない。
完全にフィットしている。
むしろ歌いながら野田さん自身が癒されているような気配さえする。
RADWIMPSのように、どこか神秘的で、そしてミステリアスな雰囲気をまとったバンドの周りには、常に「歌詞を考察する人」がいる。
彼らが抱いている「RADWIMPSへの愛」は僕のようなミーハーとは違い、彼らの記事を読みながら、彼らこそ本物のファンなんだなと痛感する。
僕も彼らの記事をたまに読む。
しかし一つ気になることがあって、彼らは時折「マキ」という女性の存在を出してくる。
「マキ」とは野田さんが昔付き合っていたと言われている女性で、野田さんが「一人の女性のために4枚のアルバムを費やした(4枚目のアルバムリリース当時)」みたいなコメントを表明するもんだから、ファンの手によって、どの歌詞も「マキ」という女性に紐づいて考察されてしまっている。
もちろん楽しみ方は自分次第だし、野田さんが本当に「マキ」さんを思って歌っている可能性もある。
それに「歌詞のこの部分の意味が分からない!」という状態に気持ち悪さを抱く人も多いだろうから、そういう意味では「解決させている」という点でも美しい行為だと思う。
でも筆者の場合は、出来るだけ深く考えず、「曲調にフィットした美しい歌詞じゃん」という程度の認識の方がより感動できるし、自分の人生に溶け込ませやすい為、最近はあまり考察記事は読まないようにしている。
RADWIMPSの「バグッバイ」が最高過ぎる。なぜこんなにウットリできるのか?:まとめ
というわけで、僕は以上の理由からバグッバイはRADの曲の中でも特に名曲だと思っている。
曲の構成で言えば、終盤の「そしてそれを夢としよう」辺りでディストーションギターが薄っすら入ってくるのもエモくて良い。
また、野田さんがなんらかのインタビューで「自然と出来た曲」と答えていたというバックボーンも好きだ。※筆者の記憶違いの可能性あり
というわけで、本当に名曲なので、ウォークマンに「RADWIMPS4 ~おかずのごはん~」入れている人は、どこかで一人きりになって、スマホを閉じてバグッバイを聞いてみてほしい。
残念ながらYoutubeには「うたってみた」系の動画しか無いので、音源を手に入れるしかたぶん聞く術はない。
以上、「バグッバイが名曲な理由」でした。